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HOME> 熟練のNC旋盤加工について。>旋盤コラムVOL.4~NC旋盤導入時のメーカーや機種選定について。~

更新日:2019年11月18日

こちらのページでは弊社でも使用している一番ポピュラーな種類のNC自動旋盤(以下NC旋盤と記述)の工作機械メーカー、機種選びについて書かせていただきます。

NC旋盤を製造している工作機械メーカー

元来、NC旋盤は下記のような様々な工作機械メーカーからラインナップされています。

中小の金属加工会社が実際にNC旋盤を導入したい場合、上記のメーカーに連絡して「購入希望」と伝えても、すぐに「はいどうぞ。」とは売ってくれせん。

工作機械メーカーの立場から考えると、旋盤等の工作機械は非常に高価な商品となりますので、「購入業者がきちんと代金を払ってくれる会社なのか?」という信頼性が必要となります。

その信頼性を担保するために、一般的には各々の購入希望業者が普段取引している「切削工具などの専門業者(※業界では工具屋と呼びます)」を取引の仲介役に立て、「このお客様は普段きちんと工具代金等を支払い、実際に加工業を生業として商売を成り立たせている会社ですよ。」という保証をすることになっています。

メーカーや機種の選定

上述にて、いろいろな工作機械メーカーを紹介しましたが、では「工場経営者はどのようにして購入する機種を選ぶのか?」

一般的には下記のようなチェック項目を考えてから機種を選定します。

1. 導入目的

NC旋盤の選び方としましては、まず。導入目的が挙げられます。

簡単に申しますと、「新たに購入するNC旋盤でどのような条件の切削加工を行うのか。」ということです。

例えば、車を購入する場合なら、「たくさんの人が乗る予定ならワゴン車。走りを楽しみたいのならスポーツカー。1人で乗るだけなら軽自動車。」という選び方がありますよね?

導入するNC旋盤を選ぶ際にも

  • 「小さな部品を素早く量産したい。」

  • 「硬い難削材でもガリガリと削るタフな機械が欲しい。」

  • 「長い長尺材料を切削したい。」

  • 「逆に短くて太い材料を切削したい。」

など、導入目的がどのような機種を選ぶのかの指標の一つとなります。

2.導入するための必要経費

これは、どんな買い物をする時でも同じです。

通常、一般の中小企業がNC旋盤を購入する際は、1台あたり安くて500~600万円ぐらい、高いものですと数千万円のお金が必要です。

また、「購入する契約を結めば、すぐに加工を始めることができるのか」というと、そうではありません。

それ以外にも、重量が数トンある精密機械を丁寧に工場まで運び、設置する運送設置代金。

設置したNC旋盤の電気基盤や操作パネルの動作確認を行う試験代金。
(電気基盤、ソフト関連は主にファナックという会社がチェックします。)

また、各工作機械メーカーによって、切削工具「バイトやホルダー、コレットなど」の規格も異なるため、必要なサイズごとにすべて新調しなければなりません。

それらすべての必要経費を候補となる機種ごとに算出し、機種選びの参考とします。

3.機械の大きさ

工作機械は基本的にかなり大きな機械です。

そのために、「この機械がほしい!」と思っても、設置するスペースのチェックや確保は必須です。

また、メーカーのカタログに記載されている機械の設置面積だけを確保すればいいわけでもありません。

結構忘れがちなのが、旋盤後部にあるメンテナンスパネルの大型ハッチの開け閉めをするためのスペースです。

NC旋盤の精密な動きの要となる主要基盤群は、機械後部の大型ハッチの中に収められており、故障したときの修理やメンテナンスのために、ハッチを開け閉めするスペース(まともに修理しようとすると最低1m)が必要となります。

4.剛性

最後に、生産現場の職人の立場から一番重要であろうという項目。「機械の剛性」です。

NC旋盤における剛性とは「重切削を行う際や、大きな重い材料を主軸に固定して高速回転させる場合などに、どれだけ振動を抑える事ができ、タレットや刃物がどれだけ精密な動作をすることができるか。」ということを意味します。

では、「剛性が高いと何が良いのか?」

簡単に言えば、剛性が高いNC旋盤は、寸法精度も高いからです。

NC旋盤で製品を量産する場合、ある程度の個数を加工すると、加工品の寸法が0.01μのオーダーで寸法が少しずれ始めます。

したがって、生産現場では、一定時間ごとに寸法を測定し、旋盤に対して「寸法の修正命令(摩耗補正といいます)」をする必要があります。

この寸法摩耗補正をする頻度が、「剛性が低い旋盤では頻繁(5分ごとぐらいの時もある)であるのに対し、剛性が高くて寸法がずれにくい旋盤では、20分ごとぐらいのペースでも構わない」のです。

つまり、現場の職人の仕事がそれだけ減ることになり、その余力を違う仕事に向ける事が出来るので、生産能力の向上に繋がるわけです。

では、剛性が高い低いはどうやって見分けるのか?

もちろん、メーカーのカタログにも剛性値が掲載されていますが、簡単な指標としては、機械が大きいこと、つまり重いことが挙げられます。

また、経験豊富な職人は、NC旋盤正面の扉を開け閉めする際の、「扉の重さ」だけでも判断することができます。


著者:(有)新紀工業 WEB担当 新井元紀
経歴:大阪電気通信大学制御機械工学科 2002年卒業。
大阪電気通信大学大学院博士課程 機械工学専攻 2004年修了。
精密機器スピンドル用スパイラル溝付ジャーナル軸受の研究に携わる。
修了後、同年(有)新紀工業に入社。現在に至る。